記録には1933年頃、ヨーヨーが爆発的に人気になった。
日本では江戸時代から親しまれていた玩具であったのに何故か昭和7年の暮れから日本で突然流行しだした。
この当時のヨーヨーは日本発のオリジナルという訳ではなく、前年1931年にロンドンで流行し、それからヨーロッパ、アメリカを経て日本にやってきた。
当時、外国製のヨーヨーは1個3円。10銭のヨーヨーすら買えない子供が多いのだから相当高価なものだったようだ。
そこで目をつけた商売人が一儲けしようとヨーヨーを大量生産し、海外製のヨーヨーよりも安く、全国に出荷したのである。ピーク時には月産500万個も作ったという。
街にはヨーヨーしている若者があふれ、学生、会社員、モガなど老若男女問わず楽しむ姿が見られていた。
子供達の間ではヨーヨーを持っていないとバカにされたり、また、ある小学校では授業中に先生の目を盗んではヨーヨーをして怒られる光景があったり、また事務室では大人までもが遊んでいる姿も見られた。
ある家庭では10銭のヨーヨーを子供にねだられたが買え与えることが出来ないので学校にヨーヨーを禁じてもらいたい、と訴え出たものさえいる。
その為、「ヨーヨーは学校には持ってきてはいけません。」と訓す学校もあったようだ。
当時、このヨーヨーをもっと楽しんでもらいたいと思った日本ヨーヨー競技会は冊子を作り、ヨーヨー普及の活動に務めた。
その冊子にはヨーヨーの歴史から当時のヨーヨーの楽しみ方、トリックの解説、そして競技会でのルールや得点表なども記載されており、とても興味深い内容となっている。
そんなヨーヨーで賑わった昭和8年だったが流行も過ぎ去るのも早く、翌年昭和9年には殆どヨーヨーをする人はみかけなくなったという。
かくして一瞬の仇花のような昭和初期のヨーヨーの流行は終わったのである。
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